アンソロジー主催の経験
R-9=サンがユンコアンソロジーのことについて書いていたのを見て、「自分も何か書いておこう」と思いました。
備忘録というか、「これからアンソロジーを作りたい/参加したいけど、何かサンプルがあればなぁ」という人のためのものです。
ニンジャ万博・ザ・ファイナル発行で、サークル・シマナガシアンソロジー【LIFE】を出しました。
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COMIC ZIN 通信販売/商品詳細 サークル・シマナガシアンソロジー【LIFE】
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文章化していたのですが長くなりすぎたので箇条書きにします。
・アンソロジー主催を決めた日
ニンジャ万博(終)を開催するというアナウンスがされた段階(日付の調整をアンケートでとった頃)で決めました。
・その理由
この「ニンジャ万博」というイベントはニンジャスレイヤー二次創作界隈では伝統ある、胡乱自由なイベントです。夏冬のコミケでもそれなりに集まりますが、やはりオンリーイベントのほうが盛り上がります。
前回のイベントでは「アニメイシヨンから知ったけれどまだ本を出すほどじゃないかな」という人が居たり、地上波のアニメイシヨンで好きになった人も居たりと、ニンジャヘッズが日に日に増えていっています。
最後のにんぱくともなればサークル・一般問わず参加したい人が多く、参加者も増えるのではないかと思ったからです。
・最初にしたこと
要項の設定:テーマを「LIFE」にしたこと。日常といっても幅広く、皆でダラダラしているかもしれないし、何かビズをしているかもしれない。シマナガシの根底にあり、かっこよくもありダサくもある、どちらかといえば愚連隊としての印象の強い単語にしました。
エルドリッチを含むか否かについては悩みましたが、含まないとしても書く人は書くし、含んだとしても書かない人は書かないと思い、5人ということにしました。
カップリングは相手を問わずなし、またシマナガシ以外の恋愛関係もなし。これは苦手な組み合わせがいることで手に取らない層を減らしたいことと、本筋である「LIFE」に焦点を絞るためです。
表紙の依頼:表紙をブリテイル=サンに、裏表紙を(上から)弦田樹=サン、ニッタ=サン、アオナガレ=サン、ぴんこ=サン、ヤミワラ=サンにお願いしました。特に裏表紙の「そのキャラクターを好きな5人に描いてもらう」というのはやってみたかったことで、これが本当にかっこいい仕上がりになりました。
ツイッターアカウントの作成:私個人のアカウントはツイート数も多く、腐ったこともつぶやいているので苦手な人も居ると判断しました。
サイトの作成:技術がないので断念しました。ブログを使ったのですが、更新がないことで画面が見づらくなる仕様なので、後悔しています。アンソロジーのサイトはないと困ると思うので、ここに関しては要修行の点です。
・募集方法
公募制。私が腐女子なこともあり、そういう人から声をかけられるのが嫌なのではないか、また逆に恋愛要素がないと書けないという人も居るのではないか、(そしてそのような場合断るのが手間になりそうだとか)思いました。
かわりに募集期間を長くとり、オープンな場で軽いノリでお誘いする(断るのにそれほど労力がいらない)程度のことはしました。
募集の締め切り間際であんなに増えると思わなくて驚きでした。
・募集時の宣伝
時間とともになんとなく忘れられることが最も恐れることです。しかし同じ内容の宣伝文を流すことはbot行為めいていてあまり好感度が上がりません。
シマナガシに関するブログ記事を書くことで、参加募集の宣伝と資料集を兼ねようと思いました。
実際はかなり難しいことで(自分の主観を排してキャラクターのまとめ記事を書くのは相当に大変です)これに関しても要修行です。
・原稿が集まってからのフローチャート
これに関しては「こうしておいたほうがいい」というのを書きます。
1. 漫画・イラスト参加の人には開始ページを尋ねる
2. 小説のひながた(そもそも余白や段組みは締め切り前に決めておいたほうがいい)に流し込んだpdfないし画像ファイルを、小説参加の人に送る
この際いくつかの誤字脱字、アンソロジー内での文章規定(数字は漢数字にする、「!?」は縦中横にする、等)を付記する。参加する人も後から誤字を見つけると悔しいので。
(余談ですがこれは私がいくつかのアンソロジーに参加して、最も主催の人にやってほしいと思っていたことの一つです。どういう紙面になるのか教えてくれると発行を安心して待つことができます)
3. ページ数を確定する
4. 掲載順を確定し、参加者に伝える
これも参加する側としては知っておきたいことの一つです。一般的にどうなのかは分かりません。
5. ノンブルを入れた画像を参加者に送る
漫画・イラストの場合は提出データの不備がないか最終確認の意味もこめています。
6. 事務ページを作る
7. サンプルを掲載する
8. 入稿する
・台割を作る
6ページから10ページまでAさんの漫画、11ページは事務、12ページから16ページまでBさんの小説……みたいなやつです。
これがもうびっっっっっっっくりするぐらい疲れます。開始ページが奇数か偶数か決まっている人は動かせないので、「Aさんの小説があと1ページ短かったらここに入れられたのに……!」なんてことが頻繁に起こります。
これをどうにかするために小説の余白などを変更するとそれはそれで他に影響が出たりもして、本当にこの作業は心が折れました。
私はグーグルスプレッドシートを使い、こんなふうに作っていきました。
赤が事務ページ、オレンジが漫画・イラスト、青が小説です。
台割、もっと上手くやる方法があれば、教えてほしいです。
・サンプルの宣伝
今回1日1作品(途中からペースアップしました)サンプルを掲載することにしました。数が多いですし、どの作品も素敵だからです。
私は皆さんからの原稿を預かっている以上、作品の良さをなんとしてもお伝えしなければならない義務があります。
これで毎日宣伝してもbot行為にはならないぞと思ったのです。とにかく宣伝は数なので。
決まった時間(昼休みを目安にしました)に画像と名前、作品名をアップし、ツリーで宣伝をつけました。これを20時以降に自分の個人アカウントでRTすることで、昼見逃した方にも届くようにしました。
これは参加した方からも「嬉しい」「自分がどんな宣伝をされるのか楽しみ」という声をいただき、本当にありがたかったです。
自分でも成功したと思う試みでしたが、決まった時間に宣伝文を書くというのが中々大変だったこと、画像に「サンプル」などの透かしを入れなかったことは反省点です。
・入稿
直前で広島カープが優勝し、金沢印刷がフェアをやったので、印刷所を急遽変更しました。おかげで随分安く済みました。
最初はアンソロジー自体を安くすることも考えたのですが、取り置き用の画像を作っていたこともあり(余談ですがこの試みは失敗でした。当日忙しくてほとんどチェックしなかったからです)やめました。
かわりに、書店委託の値段を抑えることにしました。書店委託というのは煩雑な手続きをかわって請け負ってくれるので、手数料として卸値と売値が違います。イベント頒価をそのまま卸値にすると、店頭での売値が結構……ちょっと手が届かないかな、というお値段になってしまうのです。
そこで色々計算して税込1800円にすることができました。COMIC ZINさんはニンジャスレイヤーに対するリスペクトが強く、同人誌もたくさん置いているので、その本編とニンジャヘッズとの間の相互のWIN-WIN関係はいいなぁ、と思っているところです。
とらのあなにも卸そうと思ったのですが、1月のイベントに出ることを思うと、手元にいくつか残しておきたいのでやめました。専売マークがついていませんが、結果的に専売です。
あぁ、結局やっぱり長くなってしまった……
最初のブログでR-9さんも仰ってますが、アンソロジーを主催するうえで必要なのは、メールを送る技術だと思います。
あと画像編集についても必須です。漫画やイラストを描いている人は当たり前にできることだと思いますが、文字書きであまり画像編集ソフトを触ったことのない人は、最低1ヶ月ぐらいはソフトに触れ、分からない用語を調べておくといいと思います。
それと個人的には、「この本は自分が発行する」という強い意志を持つことです。
アンソロジーに参加する方にお願いしたいのは、どうかご自身の寄稿作品を貶めるような発言は控えてください、ということ。
アンソロジーに載っているのは確かに寄稿してくださった皆さんの作品です。でもそれを編集・発行しているのは主催です。
これは私も参加者の立場でやってしまったことがあります。そのときは主催の方に「各地から特産品を集めてフルコースを提供しているのに、生産者が『あれ腐ってたかもしれない』などと軽い気持ちで言ってしまったら、提供しているこちらの信頼に関わります。そんなことないのは分かっているのだから、卑下することはやめてほしい」と言われました。
「でもどうしても反省点がある、ここが足りなかった」分かります。ならばせめて、発行した実物を手にとってからではどうでしょうか。
紙になって見てみると意外と悪くなかったり、主催がうんうん頭をひねって考えた掲載順で読むことで、妙味が生まれていたりします。
同人誌は入稿してから現物を見るまでに不安感があります。ましてアンソロジーは参加者でも全容が見えず、「あんなもので良かったのだろうか、他の人の作品はどんなものなのだろうか」と悪循環に陥ることがよくあります。
だからこそ、紙の本で読んでほしい。
あの不安感が払拭される瞬間こそが、アナログのあたたかみというやつなのだなぁと思うようになりました。
本当にチョー長くなりました。ブログに向いていないタイプだと思います。